ある夏の日の思い出
実家に帰っていたある日、その日は東京でライブがあって友達と一緒に観たんだ。その帰り道の話。
比較的混んでいる電車の中、楽しかったライブの話も程ほどに、何故か話題は車のこと特に免許のことに移った。
思えば僕は数年前に運転免許をとってからロクに運転していない絵に描いたような「ペーパードライバー」だ。
僕の住んでいる仙台は車がなくても原付さえあれば生活に困ることはない。むしろ、激しく渋滞している中心街を車で移動するというのはとてもフラストレーションの溜まるところ。
さて、そんなことを思っているうちも、電車は僕らを乗せて目的地に向かって走り続ける。
「そうそう、うちの県って免許センターから遠くて遠くて」
「あたしのところは近いよー」
(僕)「いいなー、アレって忘れると面倒なんだよね〜?」
「この前更新だったんだけど時間かかって大変だった・・・」
んっ??
ちょっと待った!!!
(オレの更新日っていつなんだ?? その前に・・・)
(||゚Д゚)ガーン
そう、さっきも言ったとおりボクは数年前、もうちょっと正確に言うと大学2年生に免許を取った。そして、以来一回も更新した記憶がない。あれあれ??
とっくに期限過ぎてんじゃないの??
アワワワワワ((((;゚;Д;゚;))))
おいおい、
「(僕)『いいなー、アレって忘れると面倒なんだよね〜?』」
なんて余裕こいている場合じゃねーよ!
オレだよオレっ!
緊急事態発生!!ド━(゜□゜)━ン
再講習による大量出費、時間のロス、講習中の気まずさ、
そして何よりも、その間原付無免許運転だよ・・・
事件は会議室で起こってるんじゃない! 現場ボクの中で起こってるんだ!!orz
駄目だ! ここは冷静を保つんだ。無理でも冷静を装うんだ! さもなくば、ボクは崩壊する!!
ここで出来ることはただ一つ、自分の免許証を確認することだ。
だが、ここは混んでいる電車の中。下手に確認して期限切れで取り乱すのも良くない。
楽しかったライブの思い出が一発でふっとぶぞ! ということで駅についてから一人で免許証を確認することにした。
電車は終点新宿へと一駅ずつすすんでいく。最後の審判が刻一刻と近づいてくる。
ボクもみんなの楽しい会話に合わせてはいたけど、背筋には寒気が走っていた。
(死刑を宣告された死刑囚ってこんな感じなのかな・・・)
(今まで育ててくれた父さん・母さんありがとう・・・・)
(良くしてくれた友人たちありがとう・・・・)
「間もなく、新宿〜 終点新宿です〜」
審判を始まりを告げる車内アナウンス。
(しょうがない、覚悟を決めるしかない)
そう思って財布から免許書を取り出す。
「平成18年12月X日まで有効」
一命とりとめました。本当ありがとうございました。