hiroto-o's diary

とある大学の大学院博士課程を何とか卒業して、とある金融の仕事をロンドンでしています! リンクはご自由に♪ メールはhiroto_o20[at_mark] hotmail.comまで。([at_mark]は@に置き換えてね)

サラダ味おせんべい

みなさんは和菓子の王様*1煎餅は好きだろうか? 醤油味、胡麻味などなどいろいろあって、醤油味の中に更にもいくつかのカテゴリーがある。


さて、その中で今日のお題は「サラダ味」。その軽すぎる味を幼少の頃は好きになれなかった。当時の僕は醤油味などの濃い目のはっきりとした味が好きだった。しかしながら、今日「サラダ味」は日本の煎餅文化を支える重要な味付けである。僕もときどきお店で敢えてサラダ味を選ぶ。


そのサラダ味だけど、ここで一つ問題がある。疑問に思ったことは無いだろうか? 何故「サラダ味」と呼ぶのか。野菜の味なんて、びた一文しないじゃないか。もしかして、味はしないけど野菜のエキスが入っていて体にいいですとか云う落ちなのか? はたまた今流行の偽装表示の先駆けか?


この類の疑問は、思いついた時点ではとっても気になるのだが、少し時間がたってしまうと途端に忘れる。別に解決したところで僕の人生に大きな影響をもたらすわけでもなく、他の誰かが幸せになったりするわけでもない。このような疑問は、波打ち際の白い泡のように現れては消え、消えては現れる。海の波から自然の息吹を感じるのであれば、どうでもいい疑問から人間の知的活動の息吹を感じ取ることが出来るのだろうか?(な訳ない)


しかし、先週のテレビ「世界ふしぎ発見!」で疑問解決のヒントを得ることが出来た。「サラダ(salad)」の語源である。



サラダ(salad)、ソーセージ(sausage)、給料(salary)



この3つの単語の語源は同じである。では3つを繋げるキーワードって何だろう? サラダとソーセージは食べ物で共通するけど、給料って何だ? 実はそれは古代ヨーロッパの歴史にさかのぼる。


3つに共通しているキーワードは「塩(salt)」である。ラテン語では「sal」になる。古代ローマでは、野菜を塩で味付けし、肉の腸詰も塩で味付けしている。サラダとは元々「塩で味付けしたもの」という意味であり、当時その典型的なものが塩味にした野菜であった。ソース(sauce)も同じ語源である。更に、塩は人間の生体活動に不可欠なものであることから給料も塩で支払われていた。「青菜に塩」などに代表される日本での後ろ向きなイメージとは正反対である。


最初の疑問−なぜお煎餅で「サラダ味」と言うのか?−に戻そう。もう簡単である。サラダ味=塩味*2である。和菓子の代名詞お煎餅のサラダ味は、実は伝統的な日本文化と古代ローマの文化の巡り会いの末に出来たものと考えることが出来る。


*1:僕が勝手に名付けた

*2:サラダ油で揚げたからという説もある。しかし元々サラダ味は、A:塩で味付け、B:サラダ油で揚げるの2つの工程を経たものなのだから、どちらも正解だろう。