hiroto-o's diary

とある大学の大学院博士課程を何とか卒業して、とある金融の仕事をロンドンでしています! リンクはご自由に♪ メールはhiroto_o20[at_mark] hotmail.comまで。([at_mark]は@に置き換えてね)

トップレフト

トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行 (祥伝社文庫)

トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行 (祥伝社文庫)


1ヶ月くらい前に読み終えた本。
世界金融を舞台にした、とてもスリリングなビジネス小説。
主人公は、旧態依然とした邦銀で我慢しながら仕事をする今西と、
そんな邦銀を(そして日本という国そのものを)捨てて外銀で自分の力を遺憾なく発揮する龍花。
特に、龍花は仕事ぶりもルックスも完璧なキザなやつと描写されている、ありがちな設定。
前半部分は登場人物が次々と登場したり、テクニカルタームが出てきたりで、とっつきにくいかもしれないが、
後半からは、ストーリーのダイナミックさと情景描写の鮮やかさで小説の世界に一気に引き込まれる。


あと、僕は普段セカンダリーマーケットにいるから、プライマリーサイドの考え方も参考になる。
セカンダリーではクレジットスプレッドが大きい方が割安であると直感的に思ってしまうけれど、
プライマリーでのスプレッドは発行条件を意味するので、スプレッドが大きいと利払いコスト増になる。


物語の中で幾度となく、仕事の遂行のために極限まで合理化された外銀と、
頭取を始めとする上司の機嫌ばかり取って無駄なことばっかりやっている邦銀が対比されていておもしろい。
さて、「僕の会社はどうなんだ?」と思ったときに今西の属する富国銀行までは酷くないけれど、同列な部分があるからな〜
「大学にいたころはどう?」と訊かれれば、やっぱり富国銀行よりはマシだけど僕の目には無駄が目立ってたかな。
対して、龍花はとてもアグレッシブに案件を獲得してやり遂げる。


そこのところ考えると、やっぱり龍花になりたい。ただ、能力的にあんなふうにはなれないだろうし、
龍花ほど冷徹にはならなくてもいいかな。疲れそう。
ストーリー全体については、スケールの大きなエキサイティングな内容で、
それでいて色々考えさせられることも多く、読んで良かった。本を薦めてくれた友人に感謝したい。